空飛ぶ計画
私はノートを静かに閉じるとしばらく夜空を見つめた。今夜は月がとても綺麗だ。
そんなことを考えていると。
パチパチパチ。
また。まただわ。下の階に暮らす誰かが、私の詩を聞いて拍手をくれた。私はお辞儀をして、ありがとうございました、と小さく呟いた。しばらくは頭を下げたまま動けなかった。
この。この私が生きている世界にたった一人でも私なんかの詩に拍手をくれる人が、いる。
幸せを噛み締める様に、私は頭を下げ続けた。
また一週間がたって、私はひとつの詩を完成させた。3時より少し前に出来ていたが私は何度も読み直してみる。今夜は少し切な気に、話そう。上手く発表出来ても、もしかしたら拍手はもらえないかもしれない。そんな不安もあった。
しかし。だがしかしそれでも。この詩を、この誰か、に聞いて欲しい。
私はノートを持って座っていた椅子から立ち上がりベランダへ向かった。