空飛ぶ計画
正直、駄目だったろうか。私の詩はやはり拒絶されるのだろうか。それでも書きたいことを書いたのだ。ハッピーエンドじゃなくても。
目を固く閉じてノートに顔を埋めた私は、思わず足を折り畳んで座り込んでいた。
パチパチパチ。
!!!
拍手、拍手だ。ハッピーエンドじゃなかったのに、それでも拍手をくれた。私は安堵感に埋もれる前に、と焦って、ありがとうございました、を伝える。
いよいよ完璧にベランダに座り込んでしまった。あぁ、あぁなんて素敵なのだろう。私が詩を読み、誰かが聞いてくれる。
ここでようやく私は気になる。誰か、とは一体誰なのだろう。下の階に下りて表札を見れば名前が分かる。でも、そんなことでは無くて、この誰か自身を知りたかった。
ハッピーエンドじゃない詩にも拍手をくれるということで、私は何故か誰か、を味方の様に感じた。「私側」の人間であるように思った。
ならば書こう。
私の事を書こう。詩にしよう。この人に聞いてもらいたい。
そう思った私は一週間、正に文字通り詩の作成に没頭した。
そしてまた夜の3時が来る。私は空へ向かった。