瞳、絡む瞬間。




俺の父はその日から笑うことをやめた。





そうして、ひたすら、俺にこういった。





「本当に愛する人を失ったらこうなるんだ。





愛する者を失いたくなかったら、愛してしまう前に…身を引け。」






この父のように、いつか杏奈がなってしまったら。





俺を愛してくれたのに、勝手に俺がいなくなった時、抜け殻になって笑わなくなってしまうのではないか。




そんなのは困る。





いつまでも、いつまでも。






きみには笑っていてほしいから。
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