桜時雨の降る頃
――――それから。
部活が休みの日には、陽斗と2人で出かけることが多くなり
新学期が始まると
前以上にわたしと堂々といる陽斗の姿に周囲から好奇の目が寄せられた。
もう引退した、マネージャーの先輩に
「もしかして、付き合い始めた?」
と聞かれるも、口ごもるわたし。
「まだなの!? なんだ、てっきり……
2人のまとうオーラが変わった気がしたから」
「そう……見えますか?」
「うん。なんていうか、花が舞ってる感じ?」
と先輩が笑って言った。
陽斗といると、素直でいられる。
2人でいると楽しくて、時間が経つのはいつもあっという間だった。
朔斗とはたまに会えばお互い憎まれ口を叩き合っていたけど
私と陽斗が出かける時に誘っても、絶対乗ってこなかった。
きっとこのまま、一定の距離を置くつもりなんだ。
そう思ったら、分かってはいたことだけど無性に寂しくなった。