桜時雨の降る頃
女子たちになんとなーく騒がれてるな、と気付き始めた頃

陽斗が女子から告白をされた。

幼児の頃からバレンタインにチョコを何個ももらっていた俺たちとしても、

マトモに告られるなんてのは、それが人生初だった。


俺としては、なんで俺じゃなくて陽斗なんだ?

と思わないこともないが、まぁしょうがない。

陽斗はいわば王子だ。

俺と違って腹黒さは、ほぼ無い。


陽斗に対して嫉妬なんてしたことはなかった。


この告白の件が雫の耳に入って、雫から問い質された後。


雫が帰ってから、俺たちは実はまだその続きを話していた。


「雫って好きなやついるのかな」

陽斗がそう訊いてきた。

「いないんじゃねーの? いたら、俺たちに協力してとか言ってきそうじゃん」


あの世代の女子の恋における団結力といったら。

多勢の女子に詰め寄られてタジタジになる可哀想な男子を想像する。(俺ではない)


「それより、藤井どうすんの? 諦めないとか言われちゃって」

また藤井(学年イチ可愛いらしい)のマネをして
陽斗の目を見上げた。

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