桜時雨の降る頃
高2の夏。

俺たちは雫に花火大会に誘われた。

3人で行こう、と。

俺たちの関係について、雫が何らかの答えを出そうとしてるんじゃないかって思った。


のらりくらりと緩い幼なじみを続けるのもそろそろ限界だろう。

陽斗はなんで全然行動に移さないんだろうと不思議にも思っていた。



中学の時より遥かに、雫を見る瞳はマジなのに。


花火大会当日、雫がうちに来る前に

俺は腹を括って陽斗と話をしてみようと思っていた。


すると、陽斗から改まって、話があるんだと声をかけられる。

きっと同じことを考えてんだなと思うと苦笑いが浮かんだ。


「なぁ、朔斗。
俺、今夜雫に言うと思う」


「うん」


「何を?って訊かないんだな」


「何となく予想がつくから」


「そっか」


陽斗はためらいがちに、でもしっかりと俺に焦点を定めてハッキリ告げた。


「雫のことが、好きなんだ」



2年前にそういう話をした時には、陽斗の中で曖昧だったような気持ちが
年月を重ねて、より確かなものになったということだろう。

< 163 / 225 >

この作品をシェア

pagetop