桜時雨の降る頃
会場に着き、なんとか座る場所を見つけると
俺も行くと言ったのに陽斗は1人で屋台へ買い出しに行ってしまった。
さっき、陽斗が妙な話を雫にしようとしていたけど
告白の前置きみたいなもんだろうと思った俺は
巻き込まれたくなくて話を無理矢理遮った。
始まった花火を見上げながら、
雫と出逢ってからの12年を想った。
よく高校まで一緒にしたもんだ、と改めて思う。
幼なじみなんてのは、中学までの付き合いになるのが大半のようだった。
実際、俺たち以外の同級生にだってそういう関係の奴らはいたけど
高校まで同じってのは俺たちだけだった。
その時点でもう不自然だったのかもしれない。
いつからだろう、こんなふうに男女の関係になることを考えてしまったのは。
「……あのさ」
「うん?」
雫は俺の呼びかけに、視線を夜空から剥がしてこちらを向いた。
「俺たち、限界来てるよな」
「…………!」
雫は目を大きく見開いた。
ゴクリと息を呑むのも分かる。
「今から話すの、聴いてろよ」
俺の気持ちを話すのは今しかない。
そんな気がして、一度深呼吸をしてから口を開いた。
「さっき、家で陽斗に言われたんだ。雫に自分の気持ち伝えるって」
「陽斗が……?」
「あぁ。そうしたらもう、俺たちはこうして3人でいるのは無理になるだろうって思った。
ずっとそれを避けてきたけど、限界の時期が来たんだよな。
お前もずっと避けてたんだろ?陽斗もだ」
俺も行くと言ったのに陽斗は1人で屋台へ買い出しに行ってしまった。
さっき、陽斗が妙な話を雫にしようとしていたけど
告白の前置きみたいなもんだろうと思った俺は
巻き込まれたくなくて話を無理矢理遮った。
始まった花火を見上げながら、
雫と出逢ってからの12年を想った。
よく高校まで一緒にしたもんだ、と改めて思う。
幼なじみなんてのは、中学までの付き合いになるのが大半のようだった。
実際、俺たち以外の同級生にだってそういう関係の奴らはいたけど
高校まで同じってのは俺たちだけだった。
その時点でもう不自然だったのかもしれない。
いつからだろう、こんなふうに男女の関係になることを考えてしまったのは。
「……あのさ」
「うん?」
雫は俺の呼びかけに、視線を夜空から剥がしてこちらを向いた。
「俺たち、限界来てるよな」
「…………!」
雫は目を大きく見開いた。
ゴクリと息を呑むのも分かる。
「今から話すの、聴いてろよ」
俺の気持ちを話すのは今しかない。
そんな気がして、一度深呼吸をしてから口を開いた。
「さっき、家で陽斗に言われたんだ。雫に自分の気持ち伝えるって」
「陽斗が……?」
「あぁ。そうしたらもう、俺たちはこうして3人でいるのは無理になるだろうって思った。
ずっとそれを避けてきたけど、限界の時期が来たんだよな。
お前もずっと避けてたんだろ?陽斗もだ」