桜時雨の降る頃


「そうか、そうだよな。
それでこそ雫だよな」

俺が思ってるよりも、ずっと強い女なんだ。
2年前のことを責めるでもなく、問いかけるでもなく、黙って耐えていたんだろう。

そのことを考えると申し訳なくて顔が歪んだ。


俺は自分の曖昧な気持ちよりも、陽斗の想いを優先させることに徹してて



陽斗は俺よりも遥かに、雫を笑顔に出来る奴だから、そこに何の躊躇いもなかった。



2人が付き合うようになったとしても、俺は笑って祝福できるし

今まで通りとまではいかなくても

3人の仲が壊れるようなことにはならない自信もあった。


それがどれだけ自分を追い込むことになるかなんて全く夢にも思わなかった。



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