桜時雨の降る頃
初めて出逢ったあの日からずっと
いつだって陽斗はわたしの傍に
隣にいてくれた。
鬼ごっこやかくれんぼ、
夏休みの自由研究
プールにバーベキュー
部活での凛々しいシュート姿
女の子に囲まれて弱った笑顔で困ってるところ
わたしを好きだと言ってくれた熱っぽい瞳
手を繋いだとき、抱きしめてくれるとき
キスしたとき
陽斗との思い出の何もかもが
やさしさに包まれていた。
いつの間にか陽斗の甘さに慣れきってしまっていた。
『好きだよ、雫。 大好きだ』
『気持ちはその都度、言葉にして伝えないとね』
この言葉がわたしの耳にこびりついて離れない。
こんな結末を迎えるくらいなら、
素直にもっと気持ちを言葉にして伝えるべきだった。
いつでも言えると思っていたわたしは、
大馬鹿者だ。