桜時雨の降る頃
沈黙が部屋に落ち、倒れる前に朔斗と話していたことを思い出す。



すると、朔斗も同じことを考えていたのか
徐ろに話を切り出した。


「雫、お前……
絶対後を追おうなんて考えんなよ」


一瞬、ドキリと心臓が跳ねた。


「そんなこと、陽斗は絶対望んでねーし、もしやってみろ。俺は絶対にお前を許さない」


有無を言わさぬ、見たことのない鋭い視線に
耐えかねて、わたしは目を逸らした。


後を追おうなんて思ってなかった。

けど、漠然と“わたしも連れて行って”と望んだ記憶がある。


それはつまり、そういうことじゃないか。

見透かすような朔斗の瞳を見ることが出来ず、
天井を見つめた。


「それと。

お互い陽斗のことを思い出しても大丈夫になるまで、俺はお前と会わない。

勝手だと思うかもしれねーけど、今の俺たちはそうした方がいい気がする」



さっきまでの刺すような雰囲気が和らぎ、静かな声色で朔斗は告げた。



「どれくらいかかるか分かんねーけど。
会えると思ったら、連絡するから。お前もそうして。

まぁ、こんだけ近所に住んでるのに会わないっつーのも難しいかもだけどな」





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