桜時雨の降る頃
手紙
あれから2年、か。
スマホを片手に溜息を吐く。
朔斗と約束したけど、わたしは連絡出来ないままだった。
太陽という光を失ってどこへ向けばいいのか分からない向日葵のように
わたしの世界は沈んでしまったから。
合わせる顔がなかった。
朔斗からは、去年の今頃、連絡が来た。
一周忌を終えて心の整理がついたと。
わたしは、朔斗には連絡せず、事前に双子のお母さんに教えてもらったお寺へ命日の早朝に行って、お墓にお花を供えた。
朔斗は少しずつだけど前へ進み始めたのだろう。
そのことにホッとはしたけれど、
わたしは未だに灰色ががった毎日を過ごしていたから
連絡をすることは……出来なかった。
メッセージアプリを立ち上げ、アドレス帳から朔斗を探し出して画面をタップした。
『会って相談したいことがあります。
連絡ください』
そう文字を打ち、送信した。
我ながら、随分他人行儀な文だな、と思いながら。