桜時雨の降る頃
朝霧家のチャイムを鳴らすと、すぐに朔斗が出てきて迎え入れてくれた。


約2年ぶりに再会した朔斗は、また少し背が伸びて大人っぽくなっていて

陽斗も生きていたらこんな感じになってたのかなって、また感傷的になってしまい目元に熱が集まる。


サラサラの髪はそのままだけど、カラーをしてるらしくわたしの記憶とは違う、アッシュ系ブラウンに染まっていた。




電話の時と同じように、


「久しぶり。…元気だったか?」

と声をかけてくれるのに

緊張しすぎてうまく笑えもしないし返事もまともに出来ない。


こんな反応をしてしまうだろう自分が怖かった。


朔斗を傷つけるんじゃないかって


再会するのがずっと


ーーーー怖かったんだ。


玄関を上がったところで立ちすくむわたしを見て、朔斗はそっと手を伸ばしてくる。


伸ばした先には、小刻みに震えるわたしの手があった。



「……大丈夫だから」


きゅっと朔斗がわたしの手を握ると

不思議と震えが収まってくる。


それを確認してから、

ゆっくりと朔斗はリビングへわたしを誘導した。

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