桜時雨の降る頃
「開けたのか?」


「ううん、まだ。
1人で開けるのは怖くて……だから、朔斗にも見てもらおうって」


じっと朔斗がわたしを見つめる。


「なんかお前…痩せたな」

ギクッとした。

以前より食が細くなり、確かに痩せていたからだ。

でもそんなことは言わない。


「そりゃやっぱ、高校の時が1番ポッチャリしてたからね」


それらしい理由を述べると、ふぅん、と一応納得してくれたようだった。


「よし。じゃあ、開けてみよう」

力強い朔斗の言葉に頷き、怖々と封を開ける。

緊張で手がまた震えてきて、なかなか中身が出せない。


もたついてるわたしから封筒をさっと奪い、振るようにして中身を朔斗が出した。



そこには、緩衝材に包まれた、

小さな鍵ーーーー



わたしは心当たりがまったくなくて、息を呑んだ。



他に手紙とかは入ってないのだろうか。


朔斗も同じことを思ったのか、封筒の中を覗き込んでいる。


すると、引っかかっていたのか、朔斗が手で引っ張りだすようにして出てきた白い紙があった。


喉から心臓が飛び出そうなくらい、わたしは驚きと緊張のピークに達していて、声も出せなかった。




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