桜時雨の降る頃
陽斗がいた、その空間に

微笑む陽斗の幻が見えて


背けたくなった顔を何とか堪えた。




でも、自責と後悔の念に駆られて後から後から零れ出る涙で視界が滲んで結局何も見えなくなる。


「陽斗、お前……なんで自分から壊すようなことするんだよ。

なんで……自分を守らないんだ」



朔斗がベッドに向かって放った言葉が胸に突き刺さった。








ーーーー2年前の事故も。


わたしを守らなければ、陽斗は助かっていたはずだ。


なのに、自分を顧みずわたしを庇った結果


陽斗はこの世からいなくなった。






胸が引き千切れそうに痛んで、わたしはとうとうその場にしゃがみ込んですすり泣いてしまった。



……駄目だよ、陽斗。


わたしもう、自分が嫌で

耐えられそうにないよ。




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