桜時雨の降る頃

ねぇ、陽斗。

許してくれるの?

わたしが、朔斗を好きだと言っても。



ーーーどんな未来が待ち受けていても

俺が雫を好きなのは変わらないよ。

たとえ俺たちが、ただの幼なじみに戻ったとしても ーーー



わたしも、陽斗のこと、大好きだったよ。

大好きだったけど

もしかしたら、少しだけ恋とは違ったのかもしれない。

わたしが幼すぎて気付けなかった。



わたしが怒ったり泣いたり、感情の起伏が激しくなるのはいつも朔斗だった。

胸が疼くようなトキメキを感じてしまったのを
ずっと気付かないフリをしてた。



どうしてこんなに遠回りしてしまったんだろう。


ーーーー拒絶されるのが怖かったからだ。


朔斗の求めるわたしでいなきゃと思いこんでいたから。
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