桜時雨の降る頃
それはほんの一瞬の出来事だった。
ハッと我に返ったように朔斗がすぐ唇を離したからだ。
自分が信じられないとでもいうように唖然として、眉間に皺を寄せている。
「なっ……にしてんだ俺……」
独り言のように呟く朔斗を、わたしは呆然と見ていた。
身体が、動かなかった。
「悪い。……忘れて」
その一言で頭に血が上ったわたしは
気付いたら、パシッと
朔斗の頬を平手打ちしていた。
「忘れろ、ばっかり! もう知らない、朔斗のバカ!!」
悔しくて、また涙がボロボロ、と出てきた。
何なの!?
わたしの心を揺さぶるだけ揺さぶって
自分に想いは預けるなよって牽制して
そのクセ、ーーーーキスなんてして。
酷すぎる。
怒り任せに、わたしは階段を一段飛ばしで駆け下りて部屋に帰った。
わたしに打たれた頬を手で押さえながらそこに佇む朔斗を残して。
ハッと我に返ったように朔斗がすぐ唇を離したからだ。
自分が信じられないとでもいうように唖然として、眉間に皺を寄せている。
「なっ……にしてんだ俺……」
独り言のように呟く朔斗を、わたしは呆然と見ていた。
身体が、動かなかった。
「悪い。……忘れて」
その一言で頭に血が上ったわたしは
気付いたら、パシッと
朔斗の頬を平手打ちしていた。
「忘れろ、ばっかり! もう知らない、朔斗のバカ!!」
悔しくて、また涙がボロボロ、と出てきた。
何なの!?
わたしの心を揺さぶるだけ揺さぶって
自分に想いは預けるなよって牽制して
そのクセ、ーーーーキスなんてして。
酷すぎる。
怒り任せに、わたしは階段を一段飛ばしで駆け下りて部屋に帰った。
わたしに打たれた頬を手で押さえながらそこに佇む朔斗を残して。