桜時雨の降る頃
今日は双子と絡みたくないなと思いながら
みんなと朝食へ向かう途中、廊下でばったり、まんまと双子に出くわした。


ーーーーなんで2人一緒にいるかな。
クラス別なのに。



心の中で盛大に溜息を吐きながら、何とか笑顔を作った。


「おはよ」

「おはよ」「おー」

朝から爽やかな陽斗に、
気怠げな朔斗。

「どうしたの、2人そろって」

何事もなかったかのようにわたしは問いかけた。

ちら、と朔斗の顔を見ると
うっすら頬が赤くなってる気がした。

ーーーーまさか、わたしのせい?


「朔斗がタオルこっちに余分に入ってないか見てって来てさ」

「……足んなそうだったから、母ちゃんが陽斗の方に間違えて入れたんじゃねーかと思って」

「大当たりだったんだけどね」

クスクス笑う陽斗を見てると
自然と心が穏やかになってくる。
空気が和やかになることに、ホッとする。


「それより、見た?朔斗の顔」

「え?」

ドキッとした。

「ホッペ少し腫らしてんの。なんか同部屋の奴が寝相悪くて蹴られたんだって」

「……へー、ホントだ、ちょっと赤い」





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