桜時雨の降る頃
頭をポンポンされるのって、子供の頃よく親にされたのを思い出す。

だから、陽斗が大きく感じられたのかもしれない。

少しドキッとした。


「朔斗、練習見に来たら。雫のマネージャー姿、さまになってきてるよ」


「やだよ、めんどくさい。どうせまた部長とかに勧誘されんのがオチだろ」


確かに、わたしよりも部長や先輩たちが熱心に口説いていたのを思い出す。

やはり双子プレイに魅力を感じるらしい。
中学時代を知る人がいたりしてそれに期待していたようだった。


「でも、朔斗びっくりすると思うよ」

陽斗が笑顔のまま続ける。

「何に」

「雫、先輩たちに可愛がられてるから」

「はい?」

胡散臭そうな顔を陽斗に向ける朔斗。


「ほんと。俺、先輩たちに個人データ聞かれたし。彼氏いるのか、とか」

「えぇ!?」

これにはわたしが驚いて声をあげた。

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