桜時雨の降る頃
暴力反対!と後ろから叫んでくるのが聞こえたけど、それは無視して体育館に向かう。


「まったくもう! 信じらんない!」

「で? 当たりだった?」

「何が」

「サイズ?」

「…………」

陽斗まで何を言うか、とジロリと睨み返した。


「あはは、冗談だよ。怒ると怖いって先輩たちにも言っとくよ」


「もう! いーよそんなの言わなくて!」


そうだ、何か聞かれたとかって言ってたっけ。

どう答えたんだろう。

伺うように目線を陽斗に向けると、ん?と顔を覗き込まれる。


「先輩たちに何を答えたのかと思って」



「あぁ……

よくわかんないですって言っといたよ」


「……ぼかしてくれたんだ。

陽斗は今はいないの? わたしこそよく聞かれるんだよね、女子たちに」


高校へ入ってからも、2人ともあっという間に人気者になっていた。



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