桜時雨の降る頃
その別れ際、わたしはおずおずと聞いた。

「どうしておなじかおしてるの?」

「ぼくたち、ふたごっていうんだって」

「ひとつのたまごが、ふたつにぱかーんとわれて、おなじのがふたつになったらしいぞ」

朔斗の説明を頭に思い浮かべて、
なんか面白い!って思ったのを覚えてる。


双子はその頃うちの近くに引っ越してきたばかりだったらしく、

その数日後には幼稚園で再会した。

それから小学生の頃まで、

暇があればお互いの家を行き来するほど遊んだ。


いつもお日様みたいに優しくてみんなの人気者の陽斗。

反対に口が悪くて悪戯っ子の朔斗。

2人は正反対の性格をしていたけど、いつも一緒だった。


わたしはそんな2人が大好きだった。




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