桜時雨の降る頃
陽斗は、先にカキ氷をシャクシャクとかき混ぜて、口に含みながら話を切り出した。
「そうだ、さっきの話だけど。一応、言っておいた方がいいかと思って。
俺たちが雫と付き合ってるか否定も肯定もしてないってやつ」
「……それ、2人で決めたの?」
「いや、決めたってわけでもないんだけど。自然の流れで」
陽斗が言うには、以前、友達にわたしと付き合ってるのかを聞かれた時
なんとなく2人で顔を見合わせて、同時に「……さぁ」と言ったらしく
それ以来、そのパターンで返事することにしたようだった。
さすが双子。
いわゆる双子シンパシーってやつだろうか。
「“秘密なんだよな”って、後から朔斗が付け加えてたけどね」
「それ、絶対面白がってるよね、朔斗」
「どうかな。半分冗談、半分本気ってとこじゃないかな」
「何が半分本気?」
「…………雫に男を近寄らせないための作戦、だよ」