ヒステリックラバー
5 愛されたい女、愛したい男
◇◇◇◇◇
「おはようございます」
出社してきた武藤さんに今まで向けた中で最高の笑顔で挨拶をした。
「……おはようございます」
武藤さんは機嫌の良い私に少し驚いたような顔をしている。有給明けで我ながらすっきりした顔をしていると思う。髪も顎のラインまでばっさり切って軽くなった。
「髪型、似合っていますよ」
イスに座りながら武藤さんは私に微笑んだ。
「あ、ありがとうございます……」
武藤さんはいつだって優しくしてくれる。今の私には小さな気遣いだって照れるほど嬉しくて、髪を手で撫でつけた。
いつの間にか武藤さんに壁を作らなくなった。そばにいることに抵抗を感じない。話すことが苦ではない。
情けない部分を見られて恥が消えたのかもしれないし、傷を癒すために気を遣ってくれる武藤さんに甘えているのかもしれない。彼のそばにいると落ち着くことさえあった。
正広と決別してから初めての日曜日は少し風の強い晴れた日だった。
今までなら正広は何をしているのだろう、仕事は順調だろうか、元気だろうか、そんなことばかり考えていた。だけどもう心が軽い開放的な朝だ。何もない休日を寂しいと感じたのも初めてだけれど。
洗濯をして掃除をして、早めのお昼ごはんを作って食べた。そうしてふと考えるのは武藤さんのことだ。
彼は今何をしているのだろう。一人だろうか、誰かといるのだろうか。休日も仕事に役立つ知識や見聞を広めるために出掛けたりしているのだろうか。実家の家族とはどんな話をするのだろうか。
「おはようございます」
出社してきた武藤さんに今まで向けた中で最高の笑顔で挨拶をした。
「……おはようございます」
武藤さんは機嫌の良い私に少し驚いたような顔をしている。有給明けで我ながらすっきりした顔をしていると思う。髪も顎のラインまでばっさり切って軽くなった。
「髪型、似合っていますよ」
イスに座りながら武藤さんは私に微笑んだ。
「あ、ありがとうございます……」
武藤さんはいつだって優しくしてくれる。今の私には小さな気遣いだって照れるほど嬉しくて、髪を手で撫でつけた。
いつの間にか武藤さんに壁を作らなくなった。そばにいることに抵抗を感じない。話すことが苦ではない。
情けない部分を見られて恥が消えたのかもしれないし、傷を癒すために気を遣ってくれる武藤さんに甘えているのかもしれない。彼のそばにいると落ち着くことさえあった。
正広と決別してから初めての日曜日は少し風の強い晴れた日だった。
今までなら正広は何をしているのだろう、仕事は順調だろうか、元気だろうか、そんなことばかり考えていた。だけどもう心が軽い開放的な朝だ。何もない休日を寂しいと感じたのも初めてだけれど。
洗濯をして掃除をして、早めのお昼ごはんを作って食べた。そうしてふと考えるのは武藤さんのことだ。
彼は今何をしているのだろう。一人だろうか、誰かといるのだろうか。休日も仕事に役立つ知識や見聞を広めるために出掛けたりしているのだろうか。実家の家族とはどんな話をするのだろうか。