ヒステリックラバー
この気持ちもわかってしまった。自分自身の整理がつく前に直矢さんは大きな愛情を与え続ける人だ。
「直矢ほど私を愛してくれる男なんていなかったのに……」
私も同じ思いだ。直矢さんほど私を愛してくれる人はこの先の人生にはもう現れないだろう。
「直矢と別れた後に付き合った恋人は私との将来を真剣に考えてくれる人ではなかった……そのときやっと後悔しました。直矢を捨てるなんてバカなことをしたなって」
そこまで私と同じだと驚いた。恋人と結婚を望んでいたのに相手は自分のことを真剣に考えてくれなかったことが。
だからって元カレに復縁を迫るなんて図々しい話だ。愛美さんは自分勝手でずるい。今直矢さんは私と付き合っているのに。
「直矢さんと別れた後に付き合ったって言いましたが、失礼ですが同時進行の間違いでは?」
「え?」
「別れ話の時に、他に付き合っている人がいる感じがしたと直矢さんが言っていたので……」
「そう……」
目を伏せた愛美さんの顔を見て直矢さんの予感は当たっているのだと理解した。
「あなたにはそこまで話しているんですね」
愛美さんが嫌みっぽく言うから「私たちは過去を含めて隠し事はないので」と言い返してしまった。直矢さんのことになると私も冷静ではいられない。
みっともないかもしれない。元カノに嫉妬して、攻撃的になるなんて。それでも私は直矢さんを守りたい。
「それで、私にどうしてほしいのですか?」