ひめごと
「まさかあんたに先越されるとは……」

「えへへ、ごめぇん。お先に失礼しまっす」



咲子は白い頬を桃色に染め、照れ笑いをした。


散らかったローテーブルの上には、カクテルの缶と飲みかけのグラスと。
私が作ったフルーツサラダとクラッカーが、それぞれ木製のディッシュに盛ってある。


その隙間に、先日彼女が衣装合わせをしてきた時の写真が数枚散らかっていた。


小柄で華奢な彼女によく似合う、白いレースを惜しみなく使ったプリンセスドレスだった。



「あーあ、苑ちゃんに友人代表でスピーチしてほしかったなあ」

「高校の時の咲子の天然っぷり暴露していいの?」

「それでもいいからして欲しかった」



ぷぅ、と音が聞こえそうな程に頬を膨らます。


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