ひめごと


愛らしい、確かに男ウケは良いだろう。


事実、彼女が気付かなかっただけで高校の時はよくモテていた。



「人前でしゃべるの苦手なんだって。ブーケプレゼントするんだからそれで勘弁してよ」

「それはちゃんと! プロの苑ちゃんに頼んだんだからお金払うってば」

「いらないよ、私からのお祝い」



彼女は明日、結婚式を挙げる。
相手は幼馴染で二つ年上のサラリーマン。


優しそうな、超イケメン。
何より、昔から彼女を好きだったことを私は知っている。



「くっそ、うらやましいわ! これから毎日あのイケメンの寝顔拝むのね!」

「もう、苑ちゃんったら」



どうしてもお金を払うべきだと思ってるのだろう。
話しを逸らした私に、彼女が困ったように眉尻を下げた。


いらないのに。
大事な親友の結婚式なんだから、私だってできるだけのことはしてあげたい。

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