ひめごと
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「めっちゃ綺麗だよぉおお、咲子ぉ!!」



控室で、白いドレス姿の咲子を前に、私は彼女の両親や新郎を差し置いて涙を流した。



「苑ちゃん……せっかく綺麗にお化粧してるのに剥げちゃうよ?」

「私はいいのよ、今日の主役は咲子だもん」



私の涙につられたのか、咲子の目じりにも小さな水滴がじわりと浮かんだ。


シンプルなウェディングドレスを、私が作った白とグリーンのブライダルブーケが惹きたてる。


とてもきれい。
咲子もブーケも。



「式の準備が整いましたので、皆さまどうぞ会場にお集まりください。新婦様はもうしばらくお待ちくださいね」



その声を合図に、控室にいた咲子の家族もぞろぞろと退室し始める。
私もそれに倣わなければいけない。



「咲子、幸せになってね」

「ありがとう、苑ちゃん」



眉尻を下げた、今にも泣きだしそうな笑顔が目に焼き付いて離れない。





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