初恋の幼馴染み~彼がホストになっていたら~
喧嘩から背を向けて歩き始めた友梨の耳に、また怒鳴り声が聞こえてきた。
「いつもヘラヘラしやがってっ!!お前は芸人かっ!!」
パチッ!!!
「ぐあっ!!」
関西弁の男が殴られた瞬間、歓声とも悲鳴とも取れるような野次馬達のワーッ!!という声に、友梨が振り向いた。
「人が集まってきたから、とりあえずやめよっか?俺はもう帰るで……」
何事も無かったように帰ろうとする関西弁の男に、友梨は驚きを隠せなかった。
聞き覚えのある声。
茶髪の長い髪を掻き上げた時に見えた顔。
間違いなく田舎町で一緒に育った幼馴染みの純だった。
友梨の知っている純は可愛い雰囲気で、優しくてあんなに上からモノを言う偉そうな人間ではなかったはず。
純に会いたくてこうして上京したのに、まさかホストになっているとは、夢にも思っていなかった。
私の知ってる純くんじゃない……
この3年の間に変わっちゃったんだね…………
茶髪の筋盛りに見た目も雰囲気も180度、変わってしまった幼馴染みに寂しい気持ちの友梨だった。