きっかけは
「彰、今日は残業?」
「あ、いや……」
「だったら、今日は金曜日だしいつもの所に飲みに行かない?」
パソコンの画面から可憐へ視線を移す
ね?と首を傾げる姿に何故だかキュンと音が鳴った気がした
キュンって何だ?
キュンって!何の音だよ!
「なんで?」
何となく鳴り続けるキュンが嫌で冷たく言い放てば可憐の顔から笑顔が消える
なんとも言えない罪悪感
わけのわからない感情に戸惑う
「あ、よ、用事あるならいいの!ごめんね!
仕事邪魔しちゃってごめんね!じゃあね!」
気を使わせた事ぐらい俺にだってわかる
足早に立ち去ろうとしているのだって
イラついていたからって八つ当たりだ
可憐は何も知らないのに……
「じゃ、また暇な時ね!」と一瞬曇った表情を隠していつもの可憐に戻って立ち去ろうとしていた
「ちょっ「あ、可憐先輩!やっと、見付けた~!今日飲みに行きましょうよ!聞いて欲しい話もあるんです!」」
呼び止めようとした俺の言葉を遮って次は別の課の女の子が可憐を誘う
違う違う!決して呼び止めようとしたわけじゃないし!
「お?山城は俺と飲みに行くんだよな~」
横槍を入れたのはナンパ課長だ
なんで、課長と飲みに行くんだよ
そもそも、可憐は俺を誘ってるし!