きっかけは
俺と可憐とのやり取りなんて誰も聞いてないだろうけど
はぁー、何俺は必死に弁解してんの?
「あー、それなら俺たちも行きたいっす!」
空気を読めないらしい後輩の男が手を挙げる
それに便乗して「俺も、私も」になって
なんか知らない間にみんなで行きましょうなんて話になっている
なんか、なんか、知らねぇけど
「可憐は俺と先約なんで」そう言ってた
ムカつくんだよ
可憐のくせに
「あれ?そうなのか?山城!吉岡と先約ならまた今度な!」
「ちぇーっ!吉岡先輩となら仕方ないなぁ!今度は絶対話聞いてくださいね?」
みんなが去って行ったあとは可憐が不思議そうにこっちを見た
キュンとまた鳴った
「彰、予定あるんじゃないの?」
「いつもの店で待ち合わせな」
「あ、うん………じゃあ、またあとでね!」
ばつが悪くて言い捨てる俺の言葉に可憐はそれ以上は聞いてこず
可憐はにっこりと笑って去って行った
あれ?あいつってあんな風に笑ったっけ?
なんだろ……
後ろ姿を見つめながら、ずっとさっきから鳴ってる音が気になった
俺、なんか変なもん食ったっけ?
いや、別に気分悪くないしどこも痛くない
ただ、なんとなくむず痒いと言うか……
まぁ、いいや一服しよ
俺は席を立って喫煙所へと向かった