きっかけは






「よお!吉岡」

「高梨……」



喫煙所の先客は高梨だった
飲みに行って以来だ




「元気だったか?」

「てめぇ、あの日さっさと帰りやがって!」

「はは、悪ぃ悪ぃ!」



けらけらと笑う姿に反省の色は皆無だ

これ以上言ってもどうせ軽くあしらわれるか更に追い討ちを掛けられるのがわかった


「どうせ、女だろ?」

「はは、バレた?」

「可憐の事好きなんじゃねぇのかよ」

「好きになって一年、吹っ切るのに一年」

「え?」

「それだけの月日が必要だったよ
今の彼女に出会うまで引きずってた
しかも、可憐さんの友達」

「は?何それ?」

「たまたま、可憐さんと友達が買い物してるところに出会して、それから少しして付き合い始めた
もうすぐ一年になるな
もちろん可憐さん公認
彼女は俺が可憐さんの事を好きだったことも知ってるし
って言うか彼女の方が可憐さんの事好きだからな」


優しい顔の高梨に何も言えなくなる

きっと彼女の事大事なんだ

色々言ってやりたかったけど言えなくなる




「彼女のこと、好きなんだな」

「まあな、もうすぐ彼女じゃなくなるけど………」

「え?」

「彼女の立っての希望で可憐さんに一番に報告するまでは言えなかったんだ
もうすぐに奥さんになるよ」


奥さん?
おくさん?
オクサン?



「え?えー?」






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