きっかけは
高梨恋愛講座





「お?兄ちゃん!いらっしゃい!
今日はあの美人の姉ちゃんは一緒じゃないのか?」

「いえ、あとで来ます」

「そうかそうか!奥が空いてるよ~」

「ありがとうございます」



お礼を言って奥へと進む
店に入ればいつも店長が話し掛けてくれる

ここが、いつも可憐と飲みに行く店
常連の俺たちは店長にも覚えられたみたいだ


オフィス街の一角で高級でお洒落な居酒屋が周りにいっぱいあるけど
店長の人柄に惚れた俺たちはいつもここ


カウンターしかない古びた小さな店
でも、会社帰りの疲れた身体にはホッとする



いつも可憐とは店の前で待ち合わせて一緒に中に入るんだけど
帰り間際に可憐から遅くなるから先に入っててとラインが来た
たまに、ある
俺が遅いときもあるし
こんな時、同じ会社だと楽だ
なんとなく遅くなってる理由もわかるし

元カノにはよく怒られたっけ
でも、`仕事なのに`と謝りながらもいつも思ってた


元カノとはどちらかと言うとお洒落な店が多くて
一人で待つのは気を使いそうな雰囲気があったけど
ここは、一人で待つのも苦痛に感じない雰囲気も気に入ってる






「兄ちゃん、一杯先にやるか?」

「いえ、待ってます」

「………」



じーっと店長が見てきた

なんだ?



「え、えーっと………何かついてます?」




あまりに見られるのでほんの少し居心地が悪い












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