きっかけは
「あぁ、悪い悪い兄ちゃんなんかいつもと雰囲気違うからよ」
「え?そうですか?疲れてるのかな……」
まぁ、確かに今週は結構忙しかったしな
明日の土曜出勤を避けたくて連日残業だ
「いや、そんなんじゃなくて」
「?」
「兄ちゃん、とうとうあの姉ちゃんと付き合ったのか?」
「え?」
「いやーなんか待ってる姿が恋する男みたいだぞ」
「なっ///」
店長にまで?
思わず赤面する
なんで?店長にまで恋する男だと?
彼女とは思われてなかったんだ?
ってか、待ってる姿がってどんな姿だよ
専ら最近の俺はこんなのばっかりだ
「ありゃ?違ったのか?」
「いや、あの……なんで付き合ってないって?」
「あー、」
店長は少し気まずそうにして視線を外す
俺の視線にフーッと息を吐いた
「姉ちゃん、彼氏を連れて来たことあったからな」
彼氏?
それは、海外事業部の部長?
それとも、他の男?
「まぁ、兄ちゃんも良い男だけど、あの姉ちゃんも良い女だからな!
あんまりのんびりしてると横から拐われるぞー」
そう言って別のお客さんに呼ばれて行ってしまった
拐われる、か……
今の店長の話だともう拐われてるだろ?
あーっ!もう!
意味わかんねぇ!
俺は喫煙所で繰り広げられた高梨恋愛講座を思い出した