きっかけは
1つ、一緒にいる人を「邪魔だな」と思ってしまった
「あっ、彰!遅くなってごめんね!」
「ひっ!」
ポンッと肩が叩かれて驚きに身体が大きく跳ね上がる
相手はもちろん今日の待ち合わせの相手
でも、出来れば今一番会いたくなかった人物だった
「ちょっと~~なによー、お化けにでも会ったみたいに驚いて!」
「ははっ!姉ちゃん、そりゃ驚くわ
なんせ、いま兄ちゃんは結婚「て、店長!か、可憐にたこわさ!」」
なんてこった!
おいこら!店長!
今なに言おうとしてた?
この、くそたぬき親父め!
「おー、怖っ!そんな目で睨むなよ~」
店長は呑気にケラケラ笑いながら「はいよ、姉ちゃんのたこわさ」と満面の笑みで可憐に向き合った
「なにー?二人で気持ち悪い……」
可憐は本当に気持ち悪そうに俺たちを交互に見たが
店長はお構いなしにニヤニヤ笑ってる
「な、なんもないし!」
店長のニヤニヤの前では俺の必死の誤魔化しも効かなさそうだ
こうなりゃ、逃げるが勝ち
「わ、悪い!ちょ、ちょっとトイレ」
在り来たりな逃げ方
それでも、居たたまれない
「もうっ!折角、飛んできたんだから早く戻ってきてね!乾杯しよ?」
ね?と子供をあやすような可憐の優しい物言いに
逃げようとしてる自分が情けなくもあるが
今はとりあえず逃げさせろ
「お?兄ちゃんどこ行くんだ?」
あんたのせいだよ!
ギロリとまた睨んでやった