きっかけは
えーっと、なんだっけ?
あの可憐がプロポーズ?
あの可憐が結婚?
そりゃないな
うん、ないない
「ありえない」
「は?」
「だから、可憐がなんてありえない」
俺の言葉に高梨ははぁーっと大きく息を吐いて俺を睨みつけた
「なんだよ」
なんで俺が睨みつけられないといけないんだよ?
ありのままを言っただけだ
「ありえないってどういう意味だよ」
「そのまんま」
「可憐さんがプロポーズされるのが?結婚するのが?」
「どっちも」
どう考えてもないない
だってあの可憐だぞ?
しかも、海外事業部の部長?
海外事業部の部長と言えばイケメンなくせにフレンドリーでめちゃくちゃ好い人
その上、仕事の鬼
女からは結婚相手として、男からは素晴らしい上司としてこの会社で知らないやつはいないと言うほどの人だぞ?
そんな人が可憐と?
「お前の中で可憐さんてどんなだよ………」
「どんなって………超酒が強くて、気さくで………よく笑って
よく泣いて、負けん気が強くて、男みたいなやつ」