きっかけは
可憐の言葉にズキンと胸が疼いた
可憐と部長が過ごした時間を考えるとモヤモヤする
でも、それは自分の鈍感さが招いたことだとわかっているのに
「でも、結局は彰に振られるのが怖くて逃げてるだけだったんだよね
そんな自分が嫌で部長とわかれたんだけど………
部長は全部わかってたんだと思う
プロポーズしてくれたのも、私を押してくれたんだと思う」
きっと、大事にされてたんだ
可憐の表情は部長を想っていた
可憐が部長に惹かれていったのも本当だろう
でも、良かった
可憐にも部長にも辛い想いをさせてしまった
もしかしたら、高梨にも
「ほんと、俺ってまともな恋愛してなさすぎ」
「ふふ、そうなの?」
カッチーン
身体が一瞬で固まった
また、寝言?
ゆっくりと視線を降ろすとばっちり可憐と目が合った
「おはよ、彰……」
胸が疼いた
幸せだ
愛しい
可憐と迎える初めての朝は心臓に悪い
それでも、この先も幸せが続くのだと思えた
絶対、離せない
「まともな恋愛してないの?」
「あ、いや……」
「恋愛初心者だもんね」
「うっ……」
また、にょきにょき見えた尻尾
勝てる気がしない
「彰……おはよう」
「……っ、おはよ」
可憐はホッとしたのかまた、ぎゅっと俺に抱き付いてきた
ちょっと、待て
これから、どうすんの?
ちょっ、ちょっと緊張するんですが