きっかけは
体の付き合いだけが必要だとは決して思わない
ただ、可憐と会ったり話をしたあとは、なんと言うか男の本能が疼いてしまう
べつに性欲が強いわけではない
どちらかと言うと淡白だと思う
そりゃ、若いときは欲を吐き出したいのもあってセックスしてたと思う
ただ、他のヤツみたいに会う度にセックスでもなくて
どちらかと云うと一ヶ月に一度程度で十分だった
毎日でもヤりてー!と叫ぶ同級生に、何となく置いてきぼりを食らった気分にもなった
彼女から迫られて仕方なく、なんて事も一度や二度ではない
一番最後の彼女とのセックスだって最後の数ヵ月は無かったから、厳密に言うと俺は四年近くは女を抱いてない
だからか?
いつも以上に男の本能が強くなるのは久しぶりだからだろうか?
「お前さ、抱きたいとか思わないの?」
「………」
「くっ、なるほどね」
高梨が面白そうに笑うから思わず大きな声が出そうになる
「もて余してるってか?」
「!!」
なんで、この男は!
その通りだ。可憐に感じる気持ちが怖い
キスをしたい
触りたい
可憐の全てを知りたい
他の男に触られたのかと思うとめちゃくちゃにしてしまいたいとさえ思う
そんな気持ちをもて余している
「いいんじゃね?」
「え?」
「抱きたいって思うのは好きなら当たり前だろ
だからお前は何も考えずに可憐さんを愛せば良いんだよ」
ヤり過ぎんなよなんて言いながら高梨は去って行った
言い逃げかよ……