桜の下できみを待つ
まさか雨に降られるなんて思ってもみなかった。
小雨とかならまだしも、結構な土砂降り。


家からなるべく遠くへ行きたくて、
走って走って、
気づいたらどこか分からない所まで来てしまっていた。




「傘…持ってくればよかったな」




これじゃ帰り道も分からないし、
雨をしのげるような場所もない。


私がいる道の両脇には見事な満開の桜並木。


でもこんなに立派な桜もこの雨で散っちゃうんだろうな。


そう思ったらこの桜達には思い入れも何も無いけど少し寂しく思ってしまう。




……もう、雨なんてどうでもいいや。

濡らすだけ濡らしてしまえ。
それで私のこの汚い感情が流されるなら、
もう濡れたってどうでもいいや。

そんなことを思いながら桜並木を進んでいくと、前に人影が見えた。




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