サムライ君とメガネちゃん
泣いてばかりで、うんざりして、嫌われた

らどうしよう

泣き虫、弱虫、毛虫って思われちゃう

ああ、どんどん涙が出てくる、止まらない

「りおかどの…」

彼は私の肩に、そっと手を置き、私に話し

かける

「泣かずとも良い…そなたは、拙者の目付役

であろう…

お互い初めて同士ゆえ、これより共にどん

どん話してゆけばよい、のう?」

「うん、うん…」

「そなたは、そのままで、よい」

6月の雨音が、私たちを包む

…いきなり彼は手を伸ばし、私のメガネを奪

い取り、ズボンのポケットから取り出した

手拭いで、私の両目をゴシゴシこする

「やっ、やだ、痛い!」

私のか弱い抗議にも耳を貸さず、ゴシゴシ

を続ける
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