サムライ君とメガネちゃん
視界がぼやける、彼の顔が、よく見えない

「もう、泣かぬか?」

「泣かへん、泣かへんから!

メガネ返して!」

…彼はやっと、メガネを私のもとに返す

メガネをかけ、彼を見ると、悪びれもせ

ず、ニコニコと笑っている

「拙者とそなたは、これにて結ばれてお

る」

彼はそういって、左手のミサンガを私にか

ざす

「離れはせぬ、のう?」

「うん、うん、」

私は涙を吹き、やっとぎこちない笑顔を浮

かべる

「ああ、やっとりおかどのが笑った。

初いのう!」

しかし、そなたはやはり、泣き顔の方が、

初いのう!」

もう、どっちなのよ!
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