サムライ君とメガネちゃん
私が感嘆の声を絞り出すと、彼女は肖像画

や写真を指差し、キラキラとお目目を輝か

せる

「これは新撰組の、土方歳三さま!」

…洋装の軍服に身を包む、目元の涼しい人

「これは土佐の、中岡慎太郎さま!」

…正座をして、こちらをにらみつける人

「で、これはね、写真は残ってないけど、

沖田総司さま!うふふっ!」

…沖田総司さまは、少女漫画家が描いたよう

な、イケメン美男子風のイラストだ

これはだれ、これは誰と、ミキちゃんが熱

烈に解説するうち、先程の初老の男性が、

お茶とお菓子を運んでくる

「お嬢様、ご機嫌でございますな

しかし、ご学友も、少々辟易しておられま

すぞ」

我に帰ったように、ミキちゃんは少し落ち

着き、にっこり笑って

「猿、わかっておる。

もう下がって良いぞ」
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