サムライ君とメガネちゃん
私たちは少し小高い丘に上がる。6月の、キ

ラキラと輝く、群青の海が見下ろせる

海を眺めている私たちの横を、家族連れの

ハイキング客が通り抜ける

平和だな…

こんなきれいな、美しい場所で、昔戦争が

あったなんて…

目を閉じる

聞こえる

軍馬のいななき、兵士たちの雄叫び

剣の触れ合う音

琵琶法師の、低い声…あれ?

目を開け、隣のテツ君を見上げる

カッと目を開き、何やらブツブツ言ってい



「…祇園精舎の鐘の声…諸行無常の響きあ

り…沙羅双樹の花の色…盛者必衰の理を顕

す…」

…平家物語だ
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