サムライ君とメガネちゃん
えっ、まだ食べるの?

呆気にとられている私をよそに、彼は「美

味なり」と言いつつ、パクパク食べる

よく食べるな、この人…

お腹いっぱいになった私たちは、中華街を

出て、市街地を港に向けて歩き始める

並んで歩く

テツ君は相変わらず、観光客のようにキョ

ロキョロ見回しながら歩いている

何人か、カップルとすれ違う

彼氏彼女の間柄なのだろう、みんな手を繋

いで、楽しそうに歩いている

あるいは、夫婦か…

逆に、私たちはどう、思われているのだろ



恋人同士に、見られているのかな

私たちの間には、微妙な空間

さっきは人混みで、成り行き上テツ君は私

の手を掴んだみたいだけど

もうちょっと、近くに寄りたい、ような

でも…
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