サムライ君とメガネちゃん
男の人はすうう~っと手を伸ばし

私の頭に手を乗せ

頭をなでる

いや、なでるというより、クシャクシャ

これは…ミハルちゃんの「よしよし攻撃」よ

りも強力

しかも、大きい手…

男の人はにっこりと笑い、

「夜道は危険ゆえ、用心せよ」

そう言って、ゆっくりと立ち上がり、木刀

を携え、公園の出口から立ち去る

「あ、あの…」

お名前は…と聞こうとする、私を置き去りに

して

私はしん、と冷えた4月の夜風の中で、しば

し取り残される
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