キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
旭が立つ反対方向を探そうと後ろを振り返った。
振り返った瞬間に目に入ったのは三人の親子だった。
父親らしき人に肩車をされてわたあめを食べる男の子。
その隣を歩く女性に目が止まった。
どうしてこんなにたくさんの人がいるのにあの親子に目がいってしまったんだろう。
どうして……
「……美瑚?どうした…の……」
どうしてこんなにたくさんの人がいるのに目があってしまうんだろう。
私の姿を見た瞬間にその女性は目を丸くして持っていたヨーヨーを落とした。
私の視線を追いかけた旭はその女性を見た瞬間に私を背中に隠してくれた。
でももう見られてしまった。
「……美瑚、なの?」
私の名前を呼ぶその声に手が震え出した。
震える手を押さえようと両手を胸の前で握りしめる。
「……お母…さん…」
何年ぶりに呼んだ瞬間、大きな花火が夜空に打ち上げられた。