キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
七笑は何も言わない。
うるさいくらい明るくておしゃべりなあの七笑が。
理由は分かってる。
乃々葉のことを考えているんだ。
「…きょうだいって、家族って難しいよね。
何でも言い合える分、たくさんぶつかる。
きょうだいもいないし、家族とも疎遠な私には乃々葉と希穂ちゃんがどうやって歩いてきたか分からない。
でもあの花火大会の時に二人は初めて本音を言い合ったんじゃないかなと思ったの」
"……家族に、大切な、人に、いなくなれば、なんて、悲しい、こと、言わない……で…っ!"
"あんたにあーしの何が分かるって言うの!?
耳がよく聞こえなくたって幸せな家庭で育てられたあんたに、必要ないと言われて家族に捨てられたあーしの気持ちなんて分かるわけない……っ!"
希穂ちゃんのために手話を勉強した乃々葉、
何かと乃々葉を心配している姉思いの希穂ちゃん。
二人ともお互いを思い合って歩んできたのは見ていてすぐに分かった。
でも思い合って歩んできたからこそ、二人は本音を言い合えていないのではないだろうか。
二人が向き合ってまたあの仲の良かった頃に戻れるように…
「だから私たちは二人が本音を言い合えるように…ってこっちは真面目な話してるんだけど?」