キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。



「あーさひさんの~、ひ~やしちゅ~か」



いつもの七笑の訳の分からない歌を聞きながら家に向かう。



前を歩く七笑にため息をついて隣を見る。
隣には両手にスーパーの袋を持った旭が七笑ソングに苦笑いをしている。



そんなに長く見つめてた訳じゃないのにすぐに私の視線に気づいた旭は、私を見て微笑み小首を傾げた。



その姿に不覚にもドキッとしたのは内緒だ。



「私の分まで持ってもらって…重くない?自分のは自分で持つけど」


「全然重くないから大丈夫だよ。
女の子に持たせるなんて男が廃るからね」



だから甘えてね?
なんて言われたら何も言い返せなくなってしまう。



「あ、それとも…」と言って旭は両手に持ってたスーパーの袋を片手に移して、空いた手を私に差し出す。



「…手、繋ぎたかった?」


「…は、はぁ!?どうなったらそういう考えになるわけ!?
私は重いかなと思って聞いただけで…っ!」


「照れなくてもいいのに~」


「ほんっとに怒るよ…っ!」



拳を振り上げて威嚇しても旭は笑うだけで全然効果なし。



花火大会の時といい、最近旭が私のことをからかう。
それが冗談だとしても私をドキッとさせるから困る。



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