キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
「………義足…?」
呟けば彼女はいつもと変わらずに満面の笑みを浮かべて左足をよく見せるように持ち上げた。
「そ!いやー、昔ヘマしちゃってね!こんな足になっちゃったんだよー!」
えへへと笑う彼女にこれ以上は聞けなかった。
そんなことを聞ける関係でもないのに聞くのは失礼かと思ってしまった。
まるでそこまでの関係を望んでいるかのように。
彼女が義足だろうが私にはどうでもいいことなのに。
「ヤクザに殴り込みにいったんだよね?」
「あーちゃん!?
いつもあーちゃんが言うから一時その噂たったんだからやめてよね!」
「その噂のお陰で下級生に怖がられるようになったわよね、七笑」
「ちょっと乃々まで!みーこに嫌な印象与えないでよ~!?」
3人は楽しそうに話しているけど、その話に裏があることはすぐに分かってしまった。
分かってしまって、どうしてほんとのことを聞きたいと思ってしまうんだろう。
私には関係ないのに。