キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
鮭を焼いて気分で選ぶインスタントの味噌汁を作るためにお湯を沸かす。
作りおきしておいた煮物をレンジで温めて、ご飯がない朝食がテーブルの上に揃った。
そして今日も一人で手を合わせる。
「…いただきます」
食べ終えて制服に着替える。
着替えながらお弁当につめる冷凍食品を解凍する。
戸締まりをして学校へと道を歩けば桜の花びらが舞っていた。
見上げれば桜が満開に咲き誇り、歩こうとしてる道を花びらで彩る。
そっか、もう春なんだ。
高校生になって2度目の春。
そして……
「ねぇ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た!もう超イケメンだったよね!賢人」
「ほんとに!やっと告白したよね!もう告白シーンやばかったー!」
同じ制服を着た女子生徒を立ち止まって眺める。
そんな最近のことを話すこともないし、話す人もいない。
理由なんて簡単だ。
私が一人でいることを選んだから。
一人になって2度目の春がやって来た。