キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
「………みーこ」
彼女のいつも明るい声とは違い、少し低くなった声で呼ばれて我に返った。
顔を上げるとそこには笑顔とは真逆の真剣な表情をした唐木田さんと目があった。
いつもと違う雰囲気に目を逸らすことができない。
「今のみーこのこと、なんて言うか知ってる?
"虚勢"っていうんだよ」
「……っ」
そんなわけないでしょ。
それは言えなかった。
"虚勢"
自分の弱い所を隠して、外見だけは威勢のあるふりをする。
私の考えていることそのまま口にしたはずなのにどうして反論できないの?
私に弱いところなんてないのに、むしろ一人で生きていける強さしかないはずなのに。
どうして彼女の言葉を認めようとする自分がいるの?