キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
桜を見て春の曲を聴きたくなって学校まで春の曲を聴いていた。
イヤホンを耳にはめたまま下駄箱で上履きに履き替えているとすぐ近くに人の気配を感じた。
「…おはよ。ちょっと話あんだけどいい…?」
気配を感じた方を見ると見たことのある男子生徒がいた。
確か同じクラスにいたような。
でも名前は知らない。
関わることのない人の名前なんか覚えたって意味ないし。
呼ばれるままついていけばそこは体育館の裏だった。
「…話って何?」
話すなら早くしてほしいと急かすように彼を見上げた。
こっちは朝眠い上に、白米が食べられなくて機嫌悪いんだから。
誰かと話すことも嫌だし。
「…お、俺さあんま話したことないけど、ずっと前から早坂のこと気になってたんだよね。
だからこれからたくさん話して早坂と仲良くなりたいんだ。
すぐにじゃなくてまずは友達からでいいからさ!」
自意識過剰って思われるかもしれないけど、体育館裏に来た時点でなんとなくそうくるんじゃないかと思ってた。
あんま話したことないって、一度も話したことないと思うんだけど。
それに、
「あなたとだけじゃなくて、誰とも仲良くするつもりないから。友達も要ら……」
「あー!いた!早坂 美瑚!」
「…っ!?」
いきなり背後から大声で名前を呼ばれて、ちょっとやそっとじゃ驚かない私でもさすがに驚いた。